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□Love-pierce-Love
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「なぁ、蓮……」

「何ですか、社さん?」

「俺さぁ、すごく聞きたくないけど聞かなきゃいられないことがあるんだけど聞いてもいいかなぁ」

「何ですか、その間延びした喋り方」

「あそこにいる集団さぁ」

「聞かないで下さい」

「どぉぉぉぉう見てもさぁ」

「喋らないで下さい」

「お前んちの至希くんに見えるんだけどさぁ……」

「幻です」


 さわやかな風が吹く初夏の草原、ラフな衣装に着替えた蓮と、いつもどおりスーツ姿の社は並んで出番待ちの時間をつぶしている。

「幻だって言うなら、お前は何を見てるんだよ! 何だよその双眼鏡!」

「美しい大自然です」

「あのさ……もしかして……と言うか……嫌だけど既に確信なんだけど……」

 眼鏡の奥の瞳は、諦観の色。

「ファンサイトにスケジュール洩らして、ロケ予定地の景観を台無しにしたの、お前だろ……」

 ドラマの中で非常に重要なシーンとして『高原/木漏れ日の下で午睡する』というものがあったのだが、なぜなのか、『そこで蓮が寝た』『そこにいると蓮に会える』『その木の葉っぱを持っていけばLMEのフリーパスになる』などのデマがネット上に流れ、ロケ地がめちゃくちゃになってしまったのである。
 部外者が知り得るはずのない情報まで混じっていたので、一時はハッキングの疑いもあったほどだ。

「神妙なカオして代替案とか出して……それ、このため?」

「あ、転んだ! ……よし、立ち上がれ……、いいぞ、強い子だな」

「美しい大自然が転ぶかぁぁ!!」

「転びますよ、地震とかで」

「揺れてない!」

「局地的地震ってやつですかね」

「その邪気のなさそうな笑みをやめろ……恐ろしい生き物だよ役者って……」
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