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□enemy enemy enemy!!
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「あ、最上さん」
「ねえキョーコ」
スタジオ入りしたキョーコを迎えたのは、一足先に入っていた先輩と親友。
今日はとあるバラエティ番組で、いろいろな事務所から先輩後輩関係にある芸能人がチームとなってクイズに答えて行く企画だ。
LMEからは、先輩として敦賀蓮が、後輩としてキュララのコンビが出演する。
「あ、敦賀さん、おはようございます。モー子さんおはよ〜っ、共演できるなんて夢みたい〜ッvv」
並び立っている二人のもとへ駆け寄ろうとし、近くにいたスタッフに呼ばれてキョーコが足を止める。
「……俺の方が、先に挨拶されたね」
極上スマイルで蓮が言うと、
「そうですね。私の方が遥かに愛がこもってましたけど」
美麗スマイルでモー子が応酬する。
二人は同時に気が付いたのだ。
相手も控え室での会話を聞いていたこと、そしてキョーコを買い物に誘おうとしているということに。
「今日の最上さんの服、よく似あってると思わないかい? あれ、俺が贈ったものなんだ」
「へえ、そうなんですか。ところでキョーコがしてる指輪、綺麗でしょう? ほら、私とお揃いなんですよ」
番組の企画上、仲の良さを分かりやすく表すために示し合わせて付けてきたのだということは伏せておく。
蓮とキョーコが恋仲(一歩手前)なことはもちろん知っているが、世間にバレるわけにはいかない現状、指輪は贈れまい。
「小物類をお揃いにするなんて、女の子らしいね。でもやっぱり身に付けるものは恋人の見立てがいいと思わないかい?」
「思いますよ? 恋人、なら」
双方が輝かんばかりの笑顔、聞き取れない小声での会話。一見すると非常に仲のいい光景なのだが、洩れ出す冷たい空気にスタジオは凍りつきかけている。
バラエティ番組らしい明るさは、どこへ逃げて行ったのだろう。