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□Last Day of 反抗期
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 蓮は最近、少し困っている。

 可愛い可愛い一人息子も、いつの間にか成長し、十五歳になった。
 世間一般で言う反抗期という奴らしく、最近は何かにつけて怒っている。
 今も、「今度の父兄参観は行ける」と告げた途端、顔を真っ赤にして怒り出した。
「黙れバカ親父!!!」
 絶叫され、蓮は考える。
 親への言葉遣いではないと、叱りつけるべきか。
 馬鹿呼ばわりされたことに不機嫌になってみるべきか(大魔王化でお仕置き)。
 大きな度量で受け流してみるべきか。
「黙れ」ではなく、この場合は「来るな」だろうと教えてみるべきか。

 まあ、不安定な年頃だし……と、思春期とやや勘違いしている蓮。

 少し会わない間に背が伸びていたり声変わりしていたりと、とにかく目まぐるしい時間を過ごしている我が子。
 残念なくらい自分に似ているが、髪質だけはキョーコ譲りだ。
 頭を撫でるとそれがよく分かって、間違いなくキョーコと自分の子供なのだと実感できるのが嬉しくて、以前は事ある毎に撫でていた。
 中学生になった頃から、あまり子供扱いするのもどうかと思って控えていたのだが……
 先日キョーコが「反抗期っていうのは、独り立ちの準備期間なんですって。側から離れても自分を愛してくれるかどうか、試してるんだそうよ」と言っていたのを思い出す。
「ふむ……」
 ギッと睨み付けてくる息子を見下ろしていた蓮が、おもむろにその頭を撫でた。
「な、馬鹿にすんなーーー!!!」
 ますます怒らせた。
 足音荒く去って行った息子の後ろ姿に、愛情表現って難しいな、と苦笑いする蓮だった。
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