スキップ・ビート!
□シャッターチャンスはone&only
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三ヶ月後。
「そこぉぉぉっっ!」
素晴らしい速度と正確性でもって、至希の投げたゴムボールが潜んでいたパパラッチのカメラを暴き出す。ボールに塗ってあるインクがカメラのレンズを汚し、使い物にならなくしている高等技術だ。
ローリィ主催のパーティ会場にて、特別に頼まれた至希はパパラッチ探知機として働いていた。
今回のパーティは、ローリィと親交の深い者ばかりが呼ばれているプライベートなものだ。
財界人、政界人、芸能人。果ては海外セレブ。そんな中に学生時代の友人なども混じっているので、報道陣は完全シャットアウトな厳戒態勢が敷かれている。
「でもってそこっ! そことそことそこも!」
ビシビシッと至希が指し示す人物に、ローリィのボディガードたちが走り寄った。
簡単なチェックだけで隠しマイクやカメラを発見できたことに、ローリィが心からの拍手を送る。
「至希はすごいな、本当に。どうやったら会得できるんだ、その超常能力は」
「……どうやったら、って。聞いた?」
「あ、ああ……何だその淀んだ目は」
「どうやったらカメラが分かるかって……? あはははそんなの簡単だよ」
中学生になったばかりとは思えぬほどに擦れきった声で、至希は笑った。
「あの親父の子供になればいい……!」
三ヶ月前、蓮は至希に約束した。
撮った写真は家から出さない、誰にも見せない、どこにも渡さない、と。
たしかに約束は守られた。だがしかし。しかし、である。
「ブログにアップしてどうすんだバカ親父ぃぃぃぃ!!」
もちろん蓮は誠心誠意の謝罪をしたが、少年の心は裏切りに脆く砕けていて。
この先一年、至希はクラス写真すらも拒むこととなる。
おわり。
→後書き