スキップ・ビート!

□シャッターチャンスはone&only
4ページ/5ページ


 三ヶ月後。



「そこぉぉぉっっ!」

 素晴らしい速度と正確性でもって、至希の投げたゴムボールが潜んでいたパパラッチのカメラを暴き出す。ボールに塗ってあるインクがカメラのレンズを汚し、使い物にならなくしている高等技術だ。

 ローリィ主催のパーティ会場にて、特別に頼まれた至希はパパラッチ探知機として働いていた。
 今回のパーティは、ローリィと親交の深い者ばかりが呼ばれているプライベートなものだ。
 財界人、政界人、芸能人。果ては海外セレブ。そんな中に学生時代の友人なども混じっているので、報道陣は完全シャットアウトな厳戒態勢が敷かれている。

「でもってそこっ! そことそことそこも!」

 ビシビシッと至希が指し示す人物に、ローリィのボディガードたちが走り寄った。
 簡単なチェックだけで隠しマイクやカメラを発見できたことに、ローリィが心からの拍手を送る。

「至希はすごいな、本当に。どうやったら会得できるんだ、その超常能力は」

「……どうやったら、って。聞いた?」

「あ、ああ……何だその淀んだ目は」

「どうやったらカメラが分かるかって……? あはははそんなの簡単だよ」

 中学生になったばかりとは思えぬほどに擦れきった声で、至希は笑った。



「あの親父の子供になればいい……!」




 三ヶ月前、蓮は至希に約束した。
 撮った写真は家から出さない、誰にも見せない、どこにも渡さない、と。
 たしかに約束は守られた。だがしかし。しかし、である。

「ブログにアップしてどうすんだバカ親父ぃぃぃぃ!!」

 もちろん蓮は誠心誠意の謝罪をしたが、少年の心は裏切りに脆く砕けていて。



 この先一年、至希はクラス写真すらも拒むこととなる。







 おわり。


→後書き
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ