01/31の日記

07:18
シンアス小話
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シンアス小話

*手をつなごう*

シンは映画館を出ると道にしゃがみこみ、がっくりとうなだれた。
「えーと、シン、映画、気に入らなかったか?」
「映画はよかったですよ。夢中で2時間あっという間でしたよ」
問題はそこじゃない。
アスランとの映画館デート、上映中手を握ろうと思っていたのに。
映画に集中しすぎて、手を握れなかった。
せっかくのチャンスだったのに。
「体調が悪いのか?」
「体調はだい……」
大丈夫だけど。
体調が悪い→手を貸そうか?とアスランが言う→手つなぎ成功という流れか?
「大丈夫じゃ、ない、かもしれません」
「そうか」
アスランはシンをひょいと俵のように担ぎ上げた。
「は?」
「歩くのが辛いなら運んでやる」
「そんな運び方???」
「お姫様抱っこの方がいいか?」
「俺あんたのカレシなんですけど? 姫抱きなんて嫌ですよ。あーもう、あんたって人はーっ! 降ろしてください」
「……こんな形だが、実はお前とくっつけて俺は嬉しい」
「この体勢でかわいいこと言わないでくださいよ!」
ハグしたくてもできやしない。
アスランは名残惜しそうにそっとシンを降ろした。
シンはアスランに手を差し出す。
「くっつきたいなら、他にも方法はあるでしょう? 手をつなぐとか手をつなぐとか手をつなぐとか」
「3回言った」
「俺は、あんたと、手をつなぎたい、です」
素直に気持ちを伝えたシンの手を、アスランは笑って握った。
並んで歩く。
照れ隠しに、手をぶんぶん振った。
通行人に見られても気にしない。
とびきり幸せな今、世界はふたりだけのものだった。

END

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