捧げ物小説 2

□似てるから?
1ページ/4ページ

 エプロンをつけて、お弁当を作っていると、シンに後ろから抱きつかれた。
 俺は抱きつかれたまま、弁当箱におかずをつめていく。
「あ、ハンバーグだ」
「シン、好きだよね」
「はい。アスランさんの方が好きですけど」
「なに言ってるんだか。はい、できたよ」
 さらっと言われた言葉に内心、どきっとしつつ、平静を装って、俺はお弁当を渡した。
 
 できあがったお弁当を手に、シンは先に家を出る。
「いってきます」
「いってらっしゃい」
 シンの顔が、すっと、近づく。俺は目を閉じた。
 玄関でキス。

 それから、外に出て、シンを見送る。
 シンの姿が見えなくなってから、家に入った。

 幸せで、足元がふわふわする。頭の中が、春。
 シンのこと、好きすぎて、やばい。大学の講義にも身が入らない。大学に行く前に、色ボケした思考をなんとかしたい。
 シンは俺といない間も、俺のこと考えてくれてるのかなぁとか、もっともっとキスしたいなぁとか、そんなことばかり考えてちゃダメだ!

 俺は、家の中を掃除した。一心不乱に掃除機をかける。
 シンの部屋は、普段、掃除しない。自分の部屋の掃除くらいは自分でしますよ、とシンが言うから。
 でも、シンのことだから、大雑把な掃除しかしてないかもしれない。俺はシンの部屋に入った。隅々まで、しっかり掃除する。
 ベッドの下も、ちゃんと。
 
 ん?

 ベッドの下に、なにかあった。手に取ってみる。

 DVDだ。タイトルは……………『バーチャルエッチ・いけない家庭教師』……?

 世界が暗転した。
 これは、いわゆるエロDVD。
 シンは、こんなものを、ベッドの下に隠してたのか。
 こっそりこれ、見てたのか?
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ