捧げ物小説 2

□チョコの香りに包まれて
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 アスランは夜中に目を覚ました。寝なおそうとしたが、眠れない。のどが渇いたので、なにか飲もうと、台所へ向かう途中、居間のコタツでシンが眠っているのが見えた。

 シンはコタツで、すやすやと眠っていた。
「シン、起きて。ちゃんとベッドで寝ないと」
「ん〜」
 アスランに体を揺さぶられて、シンは薄く目を開ける。
「ここでいいです。気持ちいいから」
「ダメだって」
 アスランはコタツを切った。中が徐々に冷えていく。
「う〜。じゃあ、連れて行ってください」
「どうやって?」
「だっこ」
「はああ?」
「できないなら、ここで寝ます」

 アスランは、ため息をついた。両脇を持って、シンの体をコタツの中から、引きずり出す。
 それから、シンを横抱きにして、持ち上げようとしたが、持ち上げられない。
「シン、そんなに強く首にしがみつかないで。苦しい」
「アスランさんの首、なんか、いい匂いがする」
「そうか?べつに、なにもつけてないよ。気のせいじゃないか?……っ、シン!」
 シンに首を、ぺろりとなめられて、アスランは動揺した。
「……甘い味……するかと思ったけど、しませんね……」
 シンは、そう言って、夢の中に落ちていった。

 寝ぼけて、変なこと、しないでほしい。
 アスランはシンを抱き上げて、シンの部屋に連れて行き、ベッドに降ろした。布団を肩までかける。
 しばらく立ち去らず、寝顔を見ていた。
 寝顔は幼く、まだまだ子供だなと思った。

 シンとアスランは、遠縁にあたる。シンはアスランの母親の姉の夫の妹の子供。つまりは、他人同然なわけだが、家が近いためにお互いの両親は親しく、二人は年の離れた幼なじみとして、育ってきた。
 アスランは大学に入ってから一人暮らしをしていたのだが、シンの両親が仕事で海外に行くことになったのをきっかけに、シンと二人で暮らし始めた。
 
 
 2月14日、シンは、学校から帰宅すると、先に帰宅していたアスランの部屋のドアを開けた。
 つかつかと、歩み寄る。
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