小ネタ

□雑記小話集4
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8月1日の雑記より。

ノンケを食う魔性の襲い受けアスラン。

シンアス小話


*一目惚れ*

 これはどういう状況だろうか。
 道端で気分が悪いと屈み込んだ人を放っておけなくて、コンビニに行くのをやめて、案内してもらって家まで送った。うまく歩けないようだったので、肩を貸してベッドまで連れて行った。
 女性相手ならためらっただろうが、男同士だし、寝室に入っても問題はないはずだった。それなのに。

 ベッドに押し倒されたのは、なぜ?

「あ、あの、ちょっ、ちょっと!待ってください」
「俺みたいなのは、好みじゃない?」
 翡翠の瞳が、悲しげに揺れる。
 綺麗だと、うかつにも見とれた。血迷ってはいけない。この人は男だ。

「お、男はダメです」
「君、ノンケなんだ……そっか」
「というわけで、やめてください。男に抱かれるなんて嫌です!」
「逆」

「え?」
「君が、俺を、抱くの。ノンケでもいいよ。男相手は初めてってことだから、嬉しい」
「逆でも無理です!」
「試してみてよ」
「気分が悪いんじゃなかったんですか?」
「あれは演技。君に一目惚れしたから、なんとかして家に連れ込みたくて。……また会えるかどうかなんて、わからないし。今しかないと思ったんだ」
 悪い冗談だと笑い飛ばすには、あまりにも真剣な、声とまなざし。胸がどきんと高鳴った。

「俺はアスラン。君の名前は?」
「シンです」
「シン……。俺が相手じゃ、その気にならない?」
 唇が近づく。体を強張らせると、手首をつかまれた。指先にキスされる。
 挑発するように、指をなめられた。舌をからめられる。
「……っ……」
 熱い舌がうごめく。吐息をもらしながら、指をくわえる様は、いやらしい奉仕を思わせて、体の中心がうずいた。

 ああ、ダメだ。

 指から離れた唇は、濡れて光っている。

「…………抱いてくれないか」

 艶めいた声に、理性崩壊。唇を重ねたい。
 
 今日初めて会った男の顔を、両手で包んで、引き寄せた。
 
 俺もあんたに惚れたみたいだ。

 舌をからめながら、心の中でつぶやいた。


 END
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