捧げ物小説 2

□チョコの香りに包まれて
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「アスランさん……バレンタインに男が男にチョコレートを渡すのって、ありだったんですか?」
「え?」
「渡されたんですよ!突き返しましたけど!つきあってくれとか言うわけですよ!男同士でどうやってつきあうんだ、Hもできないじゃないかって言ったら、できるとか言うわけですよ!俺、俺、できないと思ってたのに……」
「そ、それで、どうしたんだ?変なことされたわけじゃないんだろう?」
「させるわけないじゃないですか!やり方を説明してもらって、その後手を出そうとしてきたので、完膚なきまでに叩きのめしてきました」
「そ、そうか……」
「やり方知らなくて、すごく損した気分になりました。バレンタインにチョコを男が男に渡すのがありだっていうのも、知らなかったし」
「いや、男が男に渡すのは、一般的なことではないと」

「受け取ってください!」
 シンは、カバンの中から、箱を取り出して、差し出した。
「ありがとう」
 戸惑いつつ、アスランは受け取った。チョコを買う時恥ずかしくなかったんだろうか。
「受け取りましたね……つまり、俺のこと、好きなんですね!嬉しいです、アスランさんっ!」
「ええええっ!?」
 これ、義理チョコじゃないのか!?

「大好きです!アスランさん!ずっと、言いたかったんですけど、なかなか言うタイミングがなくて。バレンタインに告白できる女の子達はいいよな〜なんて思ってたんです。よかった、やっと言えた。これで俺達、恋人同士ですね」
 そうなのか!?

「開けてみてください」
 シンに言われて、アスランは包みを開けた。
 中から、ボトルが出てきた。これは、なんだろう?
 それと、小さなチョコが1個。
 シンは、チョコを取り出して、アスランの口に入れる。
「シャンプー?」
 アスランは、チョコを食べながら尋ねた。
「ローションです」

 …………え?
「薬局で買ったんですけど、バレンタインだからか、おまけにチョコがついてました。チョコの香りのローションなんです」
「……ローションなんて、なにに、使うんだ?」
「Hするのに使うに決まってるじゃないですか。使った方が、スムーズにできるって聞いたから買いました」
「え……」
「俺、あなたに痛い思いはさせたくないんです」
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