りゅき☆すた

□第9話 運命
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「えーと、そんじゃあ…」


「「いただきまーす!」」



かがみが記憶を取り戻してから数日…。

そのお祝いというわけでもないが、今夜泉家には、シンジとかがみが一緒に夕飯をご馳走になっていた。


今日は珍しくそうじろうも顔を出しており、久々に賑やかな食卓である。



「さぁ、シンジ君もかがみちゃんも、遠慮せずどんどん食べていきなよ」


「ふぁい!いっぱいいただいてまふ!ふぉうじろうふぁん!」



笑顔で二人に食事を薦めるそうじろうに、既に口一杯にご飯を頬張るシンジ。


この二人、実は今日が初対面なのだが、数少ない男性同士という事もあってか、すぐに打ち解けた感じになっていた。


無論、最初にシンジを見たときに、こなたとの関係をあれこれ聞かれたのは言うまでもないが…。



「へぇ〜、そうじろうさんって、フリーの記者さんなんすね」


「大したスクープはとれた事ないんだけどね〜」


「こ…こなた…」



そうじろうに対して、こなたは何とも手厳しいご意見。
収入が安定しない仕事な以上、多少愚痴を言われるのは仕方のない事かもしれないが…。



「…あれ?かがみ、全然食べてないじゃん?」



ふとこなたがかがみの皿を見ると、そこは何も乗ってない真っ白な状態。
どうやら、まだ何の料理にも手をつけていないようだ。



「どこか悪いんですか?かがみさん」


「う、ううん。大丈夫。ただ少し、食欲がないだけだから…」



ゆたかの心配そうな顔に、かがみは何とか笑顔を作って返す。


正直今のかがみは、みんなで仲良くお食事…という気分にはなれなかったのだ。


妹を救うためにも、ライダーは全員倒さなければならない。

そう、今隣にいるシンジだって、いずれは…



「…かがみ、本当に大丈夫か?」


「…っ!」


「病み上がりなんだから、あんまり無理は…」


「っ…ごちそうさまでした!!」



シンジの言葉に、自分がわからなくなる。


気がついたらかがみは立ち上がって、玄関の方へと走っていた。



「あっ!おい!かがみ!!」



いきなりの行動に皆驚くも、シンジも一旦箸を置き、席を立ち上がった。



「こなた。かがみちゃん、どうしたんだ?」


「…うーん、乙女心は複雑…ってことかな〜?」


「……?」



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「おい!待てってば!かがみ!!」



シンジが玄関先で追い付くと、かがみは既に自分のバイクに跨がり、ここを発とうとしているところだった。


シンジの声に反応し、かがみは顔だけこちらの方に向けた。



「どうしたんだよ、いきなり?あんな帰り方したら、そうじろうさん達に失礼だろ。せっかく誘ってもらったのに…」


「私は!あんたと馴れ合うつもりはない…」



シンジの言葉を遮り、かがみは怒鳴るようにそう言い放つ。
その声は、とても悲痛なものだった…。



「……じゃあね」



そう言うとかがみはヘルメットを被り、バイクのエンジンをふかす。

そしてそのまま、闇へとバイクを走らせた。



「かがみ…」









りゅき☆すた
第9話 運命







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