タレ文BL小説

□空想殺人
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人気のない公園。
僕たちはさらに人通りのなさそうな木陰に腰を下ろす。
下ろした瞬間、急に越前が立ち上がった。
「先輩っ! 飲み物でも買ってくるっス!」
そしてそう言い残し、脱兎の如く入り口の方へ走って行った。
後ろ姿を眺めながら、僕は細く微笑む。


今から狩りが始まる。
その時が刻一刻と迫ってくる。
狩人は僕。
獲物は君。
今日の獲物は君……越前リョーマ。


「先輩! これで良かったっスか?」
息を切らしながら越前が戻ってきた。
手には冷たい紅茶とファンタグレープが持たれている。
「ああ、ありがとう」
そう言いながら僕は紅茶の方を受け取った。
他愛ない会話を交わし、その時が来るのを、息を殺して待つ。
「ねぇ……不二先輩……」
僕の瞳を覗き込むように、越前が僕を見る。
その真っ赤な顔が愛らしく思える。


だけど……時は満ちた。
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