タレ文BL小説
□恋するドルチェ
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それなのにっ!
付き合ってるのになぜ何もしないっ!
僕は部室の机にうつ伏せになり、手塚に見えないように地団駄を踏んだ。
「不二……」
「何? 日誌終わったの?」
苛立たしさに少し声が上がる。
すると、カタンという音が聞こえ、僕に覆い被さるように影が出来た。
慌てて顔を上げると手塚はそのまま僕の顎を片手で上げ……。
「ふごっ!」
あまりの突然さに変な声を出してしまった。
今! 今キスしてる!
多分少しの時間なのに、僕にとっては長く感じられる。
一瞬で加速する鼓動。
その音が耳に付き、鼓動と恥ずかしさをさらに加速させる。
ゆっくりと離れていく体温に、僕は恐くて目を開けられずに居ると、今度はおでこや事もあろうかうなじにまでキスの嵐が降ってきた。
「てっ! 手塚!」
何かに取り付かれたようにキスの嵐を振り撒く手塚を払いのけた。
絶対、顔が赤いっ!
火照る顔に隠すように手をやり、涙目で手塚を直視した。
すると手塚は涼しげな顔で隣にあった長椅子へ座り、手招きをして僕を呼ぶ。
黙って行くと、今度は膝の上に座れと自分の膝をトントンと叩き、僕が躊躇していると強引に手を引っ張って自分の膝に僕を座らせた。
「不二……」
耳元で手塚の低い声が響く。
い……今までのは何だったのっ?
願っていた甘いシチュエーションなのに、僕は確信出来ずにいる。
それどころか夢を見ているんじゃないかとまで思っている。
「不二……どうかしたのか?」
手塚の声が再度、耳元で響く。
それは低くても甘い声。
「い、いや……手塚が……」