タレ文BL小説

□空想殺人
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夢の中で人を殺す僕。
自分の家族……。
仲間……。
恋人までも。

どれ位、血を流せば……。



+ 空想殺人 +



夜の帳が下りる。
眠りたくないのに閉じていく瞳。
今日もまた僕は殺人者として、夢の中に引き込まれる。


「不二先輩!」
その声に僕の足は止まった。
「ああ……越前」
くるっと振り向き、呼び止めた声の主に声を掛ける。
その瞬間、僕の脳裏にはこう過ぎった。

今日の獲物は越前……か。

「先輩、途中まで一緒に帰りませんか?」
「そうだね」
ニコッと微笑んで答える。
良い先輩を演じている自分。
越前の言葉に相槌を打ち、さも楽しそうに話す。
だけど脳裏に過ぎる言葉は、今話しているのとは違う。

ああ……早く殺したい……な。

僕の欲望がそう呟く。
越前と会話をすればするほど、脳に霧が掛かっていき、奥底から何かが溢れ出そうな感覚が襲ってくる。
「ねぇ、越前……」
耳元で囁くと、越前が硬直したかのように足を止めた。
「あの公園で少し休んでいかない?」
その言葉に越前は顔を真っ赤にして一回だけ頷く。
僕の中の僕がこう囁く。

ここで断る訳ないよね……だって君、僕の事スキだもんね。
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