鳳宍小説

□不登校にはならないで?
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鳳は恐る恐る生徒会室の部屋をノックした。
そして失礼しますと言って跡部の返事を待った。

数秒あとに、"あぁ"という返事がきて、鳳は生徒会室に足を踏み入れる。



すると跡部は来客用の椅子に鳳を座らせその向えに腰をおろした。
そして重々しく口を開く。


「宍戸が学校を休んでいるのは知ってるな。」


「はい」

(_____やっぱり、宍戸さんのことか)


「その……宍戸が………そうだな……」



「なんなんですか!!!早く言ってください!跡部さんさしくないッ!!!!」



跡部の口調がもどかしい。
そんなに躊躇しないで早く言ってほしい。


宍戸さんが…宍戸さんが…どうかしたというのか。



「そうかッ…俺らしくないな。すまなかった。」


一度謝罪の言葉を口にして言いづらそうにしていたがまた跡部が口を開く。



「………宍戸が、シンナーの中毒状態になり…学校を中退することになった」

は?意味が分からない。

「ハハハ。跡部さん。どうしちゃったんですか?
そんな真剣な顔の冗談はツッ込み所が分かりませんよ?」


「違う。真実だ。宍戸はシンナー服用でここを中退する」


「嘘だ。何で宍戸さんが……」


「何回も言わせるなッ!!!」



跡部は激怒した。
いたって本気のようだ。
ということは今の言葉はすべて本当……。


意味が分からない。
シンナー? 学校の中退?


どれも一つづつならば理解できる。
だが、文の冒頭に『宍戸さんが』という言葉をつけるだけで理解ができなくなる。



なんで…どうして宍戸さんが…そんなはずがない。


上手く事態が飲み込めない鳳に跡部は先ほどの荒っぽい口調でなく
物静かにこういった。



「今日の部活は休め。俺と一緒に宍戸の所へ行く」



そっと鳳に告げると跡部は足音も立てず生徒会室を出て行った。

鳳はというとこの言葉にただ返事もせず、さっき跡部の言った
『宍戸はシンナー服用でここを中退する』
という言葉の意味の理解に苦しんでいた。


そしてきちんと理解できたのは、宍戸の家に着いてから、あの宍戸の様子を見てからだった。
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