ノベル(短編集
□おやつの時間
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三時のおやつの時間。
その時間だけが、僕の至福の時…。
おやつの時間
「嘉音くん。そろそろ先に休憩してきてもいいよ」
姉さんは広間を乾拭きしながら僕にそう告げた。
でも…
「いいのかい?まだまだその辺とか残ってるし…僕もまだやるよ」
「ううん。いいよ嘉音くん。ゆっくり休憩してきて?」
姉さん…
僕はおもむろに時計に目をやる。
針はもうすぐで三時をさす頃だった。
…そうだな。ここは姉さんの好意に甘えよう。
「うん…じゃあ先に行ってるよ」
僕はそれだけ告げると、使用人室の方へ足を運んだ。