世界の物語

□第5話「遭遇」
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「全く…」と冷ややかな目で彼等を見送って、チャットはリィアナに近付いて彼女の手を取る。

急に掌に重さがかかりリィアナは視線をそちらにやれば、そこにあったのは小袋。


リィアナ「チャット、これ…?」


重さや感触からしてお金だと気付く。
チャットを見れば彼女は笑う。


チャット「気にしないで受け取ってください、あなたの働きを考えれば妥当の金額なんですから」

リィアナ「私がお金を?」

チャット「リィアナ、ここは素直に受け取る所ですよ」


そう諭されるとリィアナはしばらく考え、やがて小さく頷き、小袋を大事に両手で抱えると頭を下げた。


リィアナ「ありがとう、大切に使うね」

チャット「はい。では、依頼をお願いしますね」


少女の表情は変わらないが言葉から感謝の気持ちが十分に伝わったのだろう。
チャットは微笑んでリィアナを送り出した。




























――アメールの洞窟






リィアナは依頼書の通り、アメールの洞窟にやってきて、猫を探し始める。


洞窟内は淡い水色に光輝いている神秘的な空間。

自然に出来た水晶や岩石、いや、目に映る全てのものから淡い水色の光を出し、この洞窟内部を照らし出している。

その自然の見事な光景にコツコツと歩み進めながらリィアナは眺めていく。



やがて姿が見なくなったと言われる分かれ道に辿り着く。
しかし分かれ道以降は一般の人間が入るのは魔物が彷徨いている為原則禁止とされている。
依頼主は女性ということもあり、なおのこと洞窟奥へ行くのは危険だったのだ。

入り口からここまで岩陰や行き止まりと捜してみてはいたが猫を見ることはなかったのでやはりこの分かれ道から先へ入り込んでしまったとみるべき。


洞窟内の魔物はそこまで手強くはないのだが、準備をする。
ふと、リィアナは自分の服装を確認した。


ノースリーブの白のフード。

お腹は見えていて、いわゆるへそ出しだ。

黄緑のミニスカート、灰色のふともも付近まであるソックス。
左足のふとももの方にだけスカートと同じ黄緑のベルトが巻かれており、靴は白いブーツ。
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