世界の物語
□第25話「再会」
1ページ/5ページ
そこにいたのは港で財布を取り返してくれた青年、ユーリだ。
間違いない。
リィアナは少し驚きながらも青年に頭を下げる。
リィアナ「あの時は本当にありがとう」
丁寧な挨拶にユーリは口を軽く押さえて笑う。
ユーリ「おいおい、いつの話だ?礼はいいって」
リィアナ「いつだっけ…いち、に…」
指折り数え出したリィアナに青年は「数えなくていいから」と、遮る。
チャット「リィアナ、あなたの知り合いだったんですか?」
少しびっくりしたようなチャットは二人を交互に見る。
ユーリは首を軽く捻りながら「ちょっとな」と適当に流し、彼の隣にいた女性が笑いかける。
リィアナ「エス、テル…だっけ…?そう呼ばれてた気がする」
エステル「はい、エステリーゼと言います。エステルでいいですよ?」
チャット「コホンッ!!」
わざとらしく咳をして、チャットに注目が集まる。
首を同時に傾げるリィアナとエステルにユーリがまた笑う。
チャット「とにかく再会は後にしてください。リィアナ、いいですか?」
リィアナ「うん、邪魔してごめん。セネル、行こう」
セネル「あ、ああ…」
会話に入れなかったセネルは少女の呼び掛けに答え、ユーリを一目見てリィアナの後を追いかけた。
二人が出て行くのを見届けて青年は一人呟いた。
ユーリ「ギルドの人間だったのか」
◯