世界の物語
□第22話「ダチ」
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薄緑の柔らかな光が部屋を照らす。
リフィルがベッドに寝かされた赤髪の青年の傷を癒していた。
彼を見つけたパニールと止血を行ったリィアナが傍らでその様子を静かに見守る。
やがて、光が薄れて部屋の中はいつも通り窓から差し込む太陽の光を受け入れる。
リフィル「…後は安静にしていれば大丈夫よ」
治療を施したリフィルが立ち上がって髪をかきあげる。
リフィルの言葉を聞いて安堵して、パニールが肩の力を抜く。
ベッドに寝ている青年の傷は全て治され、苦しんでいたのも今では静かに眠っている。
(…やっぱり、みたことある気が…)
パニール「よかったわぁ〜、一時はどうなるかと」
リフィル「リィアナの止血が適切だったからよ、剣士だというのに貴女の治癒力には驚かされるわ」
感心し微笑んで、リフィルはリィアナの頬を優しく叩く。
リィアナ「リフィル?」
リフィル「…ちゃんと寝てるの?疲れてる時は無理しないで休むのよ?」
リィアナ「うん」
彼女は少女の目の下にうっすらできている暈に指で摩る。
軽く目を閉じてくすぐったそうにするリィアナに指を離して「じゃあ、戻るわね」とリフィルは医務室を後にした。
パニール「リフィルさん、なんだかリィアナさんのお母さんみたいな感じになってますね」
リィアナ「お母、さん?私の?」
(『お母さん』、私にもいるのかな)
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