世界の物語
□第15話「買い出しにて」
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バンエルティア号の古代文字解読、工事が始まって二日目の朝を迎えようとしていた。
甲板で空を見るのが日課になったのか、リィアナがいつものように甲板に行くとカノンノが一人何やら本を読んでいる。
(何読んでるんだろ)
じーっと眺めていると視線に気付いたのか、カノンノは顔をあげて微笑む。
カノンノ「これ?」
本を指差すカノンノにコクリ頷くリィアナ。
途端に目を輝かせる少女。
カノンノ「これは【ディセンダー】のお話の本だよ」
リィアナ「ディセンダー…」
以前、キールからディセンダーの話は聞いていた。
ディセンダーとは、世界の平和が乱れる時、世界樹が生み出す勇者であり、生まれたばかりのディセンダーは世界のことから自分の事、なにもかも知らない状態だという。
カノンノ「まだ字が読めない頃、パニールが毎日読んでくれてたの、ホント、読まない日は無いくらい」
リィアナ「好きなんだね」
カノンノ「うん、読むと元気が出るの、とても」
時折、船内から仲間の慌ただしい声が聞こえたり、物音がしたりと賑やか。
それでも耳に穏やかに聞こえ、カノンノも同じなのかリィアナの顔を見て小さく笑う。