世界の物語

□第8話「守る」
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ルーク達グランマニエの人間がバンエルティア号に保護された次の日の朝。

リィアナはカノンノと一緒に朝からパニールのお手伝いで、甲板で洗濯物を干していた。




カノンノ「いい天気になってよかった…!!あ、リィアナそれはこっちに干すよ」

リィアナ「うん、わかった」


持っていた洗濯物の一部をカノンノに渡すと彼女は「ありがとう」と笑顔で受け取り、それらを干し始める。

雲一つない澄み渡った青空を見上げてリィアナは目を閉じて耳を澄ます。





(もう、聞こえない)




バンエルティアに落ちてからしばらく、甲板で空を見上げるとリィアナに必ず聞こえていた声があった。

誰なのかはわからない、だがわかってるのは助けをずっと求めていたことだけ。




(…うーん…考えてもしかたないか)




そう思い、カノンノを見ると彼女は洗濯物を手に持ったまま干すこともせず、じーっと海を眺めている。



リィアナ「カノンノ?」

カノンノ「…!」



声をかけるとカノンノは我に返ってリィアナと目を合わせて気まずそうに笑いかける。



カノンノ「ごめんね、おかしいなぁ、ちゃんと寝たのに…寝足りないのかな!」

リィアナ「体調、悪い?」

カノンノ「ううん、私は大丈夫!ありがとう、リィアナ」




早く終わらそうとカノンノがテキパキ動き始め、リィアナもそれ以上何も言わず、残りの洗濯物を干し始めたのだった。







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