世界の物語
□第6話「勘違い」
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ルカ「本当に間に合ってよかったよ」
リッド「ったく…ヒヤヒヤしたぜ…」
安堵の表情を見せるルカとリィアナの頭を小突くリッド。
小突かれた頭をさすりながらリィアナはしばらく考え、やがて「ごめん」と呟いた。
そんな彼等の様子を見ながらジェイドと呼ばれる男性はガイとルークに向き直る。
ジェイド「それで、ルークの怪我の具合はどうですか?」
ルーク「ああ、たいしたことないって」
「なによりなことで」と頷くジェイドにガイが辺りを見回して尋ねる。
ガイ「そういえばティアはどうしたんだ?」
ジェイド「彼女には洞窟の入口の見張りを頼んであります」
ルーク「そっか…こんな事態になったから国に戻った方がいいんだろうけど…」
ガイ「さっきの海上戦で船は航行不能だし、陸にたどり着く方法から考えないと…」
(……)
その場で話し合いを始めた三人の会話を聞いていたリィアナは何を思ったのか、立ち上がって彼等に近づいた。
リィアナ「あの」
声をかけられ、ジェイドが「おや」と振り返る。
ジェイド「先ほどは勘違いとはいえ仲間が失礼しました」
リィアナ「ううん、大丈夫」
ルークとガイが申し訳なさそうにリィアナに謝る。
ルーク「本当に悪かった…」
そんな二人にリィアナは首を振る。
謝ってほしくて声をかけたのではなかった。
リィアナ「私が覚えていないだけで、二人に何か恨まれることしたんじゃないかって思ったから。そうじゃなくてよかった」
ジェイド「…はい?」
ルーク「は?」
ガイ「え?」
リィアナ「私も紛らわしくしてごめんなさい」
目を丸くする三人。
被害者である少女の頓珍漢な言葉に呆気に取られる。
完全にこちらが悪いのに謝られてしまったのだ。
眼鏡の男性は口元に手を宛てて笑いだし、青年2人はリィアナに「謝るのは俺たちのほうだ!!」と狼狽えるもリィアナに今一つ理解されていなかった。
ルカ「相変わらずだねリィアナ」
リッド「ファラ、いい加減泣き止めよ」
ファラ「だって…リィアナがっ…何かあったら…!」
あのファラをここまで泣かせられる人間はリィアナだけだなと、顔を見合せリッドとルカは笑う。
そしてようやくファラも涙を拭い、微笑んだ。
ファラ「ほんと、無事でよかった…!」
第6話・終