世界の物語

□第5話「遭遇」
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やがて、猫の捜索を始めてから1時間経過した時。







 ―…、――…






リィアナ「…!」




(爆音…?)




微かにだが耳に届いた轟音。

しかし、何回も何回も音が鳴り、大地も揺れている気配を見せる。


リィアナの脳裏に浮かんだのはバンエルティア号。
どこかの質の悪い船に襲われているのではないかと嫌な予感が過ぎる。


(…戻らないと)


リィアナは即座に依頼を後回しにし、バンエルティアに残されていた仲間を確認する。

残っていたのは確かチャット、リッド、ルカそしてファラの4人だったはずだと思い出す。

もしもの為に武器を右手に持ち、すぐさま身を翻して駆け出そうとした少女の足がとまる。



(誰か来る)



分かれ道の片方は行き止まりの空間。

しかし隅にあった小さな隙間から男性二人が一人ずつ姿を現す。

金髪の青年が赤い髪の青年の腕を肩に回している。



???「大丈夫か?ルーク」

ルーク「岸にたどり着くまでに右肩を外しちまったみたいだ…けど、利き手じゃねーし、大丈…」

???「ーーーー!!!」



赤い髪の青年が固まる。

負傷しているらしい青年が言葉に詰まったことを察して金髪の青年も視線をあげて、すぐに支えていた青年をその場に座らせ腰に携えていた剣を鞘から抜き構えた。



その場にいるのはリィアナのほかに誰もいない。
しかしリィアナは右手に武器である片手剣を持って立っていたのだ。


それを見落とさず金髪の青年が鋭い目つきでリィアナを睨む。




???「読まれていたのか…」


リィアナ「待って、私は…ーーーーー」




「ギルドの人間」と言う前にそれは遮られた。




リィアナ「…!!!!」




青年の太刀がリィアナの眼前を掠めた。
咄嗟に後ろに飛び退いたリィアナ。


心臓がドクドクと脈打つ。
あと一歩反応が遅れていたら斬られていた。



少女の反応に青年も驚きつつもすぐに構え直し、眼光を鋭くさせた。





???「ーーならば、こっちもそれなりの対応をさせてもらうぜ」








第5話・終
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