世界の物語
□第16話「出会い」
3ページ/5ページ
―――…‥
再び港に戻ったリィアナ。
変わらず船乗り達で溢れかえったこの状況。
盗んだ人間を探し出せるかはわからない、しかしリィアナは探すと決めていた。
リィアナ「絶対、見つける」
そして、少女は探し出し始める。
手掛かりはリィアナの財布の色だけ。
綺麗な水色の財布。
行き交う人を見、買い物をしている船乗りの財布を確認したり、道端を隅々見てまわっていく。
(きっと、ある)
落ちているかもと、しゃがんで道端を見ているが、見つからない。
道行く船乗りたちはそんなリィアナを怪訝な顔で見ながら通り過ぎていく。
と急に視界に写っている道が暗くなり、影がかかったことに気付く。
「アンタ、何してるんだ?」
男の声。
頭上から尋ねられ、リィアナは道を見つめながら答える。
リィアナ「財布、盗られたみたいで」
「いつ盗られたんだ?さっさといなくなったんじゃないか?」
リィアナ「なら追いかける、それに落としたのかもしれない」
きっぱりと即答したことに男は何かに座って続けた。
ちらりと目をやれば、男の灰色の靴、ブーツが見え、木箱が見え、彼が木箱に座ったのだとわかる。
「大金でも入ってたのか?」
リィアナ「作ってもらった」
「?」
リィアナ「財布はファラが作ってくれた、お金はチャットからもらった」
チャットから少し多めにもらったお金。
それらをどこにしまうか悩んでいた時にファラが作ってくれたのだ。