Parallel

□Mr.プリンセスC
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「う…ん」

目覚めると、立派な天蓋、自分が横たわっているのはふかふかの大きなベッド。
しかし、ここ数日過ごしていた所のものとは違う。
そこでツナは、自分の置かれている現状を把握した。

(オレ、連れ去られちゃったんだ…!)


第4話 会いたくて


睡眠薬をかがされたせいか、まだ頭がクラクラとしている。

(くっそー…)

自分はこれから一体どうなってしまうのだろう、そう考えていたその時、ガチャリと音がして、ドアが開かれた。

「あ、目が覚めてるびょん!」
「!あなたは…」

先程自分を連れ去った者、犬が現れ、ツナは戦慄した。

(ひいっ)

しかし彼はそんなツナの様子を、気にも留めずにずけずけと部屋に入り込み、ツナの側までやってきた。

「骸様が会いらがっれるびょん。起きらなら早く顔を見せに行くびょん!」
「い、いやだ…!」

ツナはおびえながらイヤイヤと首を振ったが、犬は無理やりベッドから引っ張り出す。

「抵抗したって無駄だびょん。」
「ちょっ…離してっ」

抵抗するもむなしく、ツナはずるずると引きずられ、部屋から連れ出されてしまった。

(どうしよう…どうなっちゃうの!?オレ…それにここ…不気味だよ…)

全体的に暗いし、じめじめ、どんよりとしている。
明かりも蝋燭だし、コウモリのようなものがバサバサと音を立てて通り過ぎていき、ツナは身震いをした。

(やだー!!こんな城で暮らしたくないよーっ)

というか、京子姫はどうしてこんな城に住む王子と婚約させられていたのだろうかと、ツナは疑問に思った。

(最初からあからさまに怪しそうだったけど…)

しかし山本の口ぶりから、犬達が侵入して連れ去ろうとしたのは昨日が初めてのようだ。

(外面とか、ボンゴレ城の王への取り入り方が上手かったのかな…)

「着いらびょん!」

そうこう考えているうちに、王子への部屋への扉まで来てしまっていた。
犬がコンコン、と扉を叩くと、中から返事がした。

「はい」
「骸様!犬れす。姫をお連れしましらっ」
「どうぞ」

ドクンドクンと心臓が鳴り続けている。
城の様子や自分への行ないから、どんな王子が出てくるのかツナは気が気ではなかった。

ガチャリとドアを開けたその向こうには。

「ようこそ、京子姫。お久しぶりです」

(ぱ…パイナップル…!)

まがりなりにも位の高い王子になんてことを、と思ったが、ツナは彼の髪型を見てそうとしか思えなかった。
パイナップルな彼が右手を伸ばして握手を求めたが、ツナは怯えてそれに応えることができなかった。
その様子をみて、彼は苦笑した。

「手荒な真似してすみません。どうしてもあなたにお会いしたくて…」
「会いたいって…何もこんな方法で…」
「すみません。ですがあなたがいつまでも渋っていいお返事を下さらないから」
「だからって…!」

ツナが不快感を露にして睨みつけると、骸は一瞬顔をしかめたが、すぐにふっと不敵な笑みを浮かべた。

「まぁいいでしょう。ここに来て頂いた以上、貴女は僕のものなのですから」
「なっ…!」
「おやおや、ボンゴレ城に帰れるとでもお思いですか?」

骸は笑みを浮かべたまま、一歩ツナに歩み寄り、ぐっと顔を近づけた。

「帰しませんよ。貴女は私の妻となり、一生ここで暮らすのです。それにこの城の周りは幻覚が張り巡らされていて、ボンゴレ城の者達も辿りつけないでしょう」
「そんな…!」
「クフフ…今夜は祝賀パーティですよ…楽しみですねぇ…」
「………」

骸はアヤしさ満点に、クフフと満足そうに笑うのだった。
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