Long

□キラメキフレーバーG
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(どうしよう、言っちゃった、言っちゃったよ!!オレ、なんてことを…!)

衝動的に飛び出した「好き」の言葉。
慌てて口を塞いだが、もう手遅れである。
恐る恐る山本を見ると、ポカンとして固まっている。
親友だと思っていた相手、それも同性から告白されれば驚いて当然である。

(に、逃げたい…)

しかし今この場から逃げ出したところで、口から出た言葉をなかったことにはできない。
ならばいっそのこと全部ぶちまけて、思いっきり引かれてしまう方が清々しいかもしれない。

(そうだよ…どっちみち、もう…戻れないんだし…)

ぽかんとしたままの山本を前に、ツナは深呼吸をして、話し始めた。

「驚かせて、ゴメン。オレにも、なんでこんなことになったのか、よくわからなくて…」

はじめは憧れだった。
運動神経抜群で、クラスの皆からも信頼されている人気者。
何をやってもダメで、クラスからバカにされている自分とは何もかもが正反対で。
お互いに、かかわりあうことなどほとんどないはずだった。

しかし、あることをきっかけに、人気者とダメ人間は親友になった。
こんな自分と仲良くしてくれることが不思議で仕方がなくて、けれど、とても嬉しかった。
気が合って、心地がよくて、一緒にいることがいつの間にか当たり前になっていた。
そう、それだけで十分すぎる程に幸せなことだったのだ。

それなのに、あろうことか恋をした。
そうじゃないって、何度も言い聞かせた。
同性の親友相手になんて、きっと気のせい、勘違いだよと。
けれど、ダメだった。
どうしようもないくらいに山本に惹かれてしまう自分がいた。

「…それでも、オレさえ言わなければ…このままでいられると…思ってた…」

叶う見込みなどないとわかっていた。
けれど、せめて友達として、これからもずっとそばにいさせて欲しくて。
友達ですらいられなくなるのだけは絶対にイヤだった。
だからこそ、必死で隠そうと、言わないようにと決めたのに。

(でも、それすらもう、無理なんだ)

山本との出来事が、走馬灯のように駆け巡った。
自分に向けてくれた笑顔も、優しさも、暖かさも、全部、今日で終わりだ。

「お、男なのに…へ、変だよね…気持ち…悪いよね…」

初めてできた親友が、自分のせいで離れてしまう。
それがどうしようもなく悲しくて、目頭が熱くなる。

(泣いちゃダメだ、山本の前で)

せめて最後くらいは、手を煩わせたくない。

山本に涙を見られないようにする意味でも、2人の関係を終わりにする意味でも、最後に一言謝って、この場から離れようと、謝罪の言葉を口にした。

「山本、ゴメ」

しかし言い終わらないうちに、突然山本にぎゅっと抱き寄せられた。



(や、山本!?)
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