butler
□call my name.
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楽しい時間は、とても早く過ぎて。
2人は公園のベンチに座って、オレンジに染まった空を見上げていた。
片手に恋人の手、片手に缶ジュース。
長い沈黙の後、静かにカカシが口を開いた。
「私達は普通の…」
「…うん」
「…いえ…」
突然、その広い胸に引き寄せられる。
強く、強く抱きしめられて…囁くように呟かれた声。
「おめでとう…ナルト…」
アイツの優しさが痛いくらいにしみて、涙が溢れた。
─そうだってばね、言葉なんていらない。
あんたの気持ちはもう、十分に伝わったから─
きっと、『普通』なんてないんだよな。
オレ達には、オレ達にしかない恋の形があって
お互いを信じてる限り、それはずっと続いていくんだ。
オレが見失う度に、きっとアイツがこうして導いてくれる。
言葉なんていらない。
繋いだ手から、伝わる。
「さぁ、そろそろ帰りましょうか」
「うん…ありがと。」
「何がですか?」
「…何でも!」
*call my name*
「そうだ、ナルト様…」
「なんだってば?」
「たまには、私の事も名前で呼んで下さいね?」
「…」
「恋人…なんですから」
とりあえず今は
これがオレ達の、恋の形。
end.