butler

□call my name.
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優しいキスで目覚めた朝


おはようの代わりに、おめでとうをくれたアイツ。

少し照れたような笑顔が嬉しくて、思い切り抱きついた。



「プレゼントは何がいいですか?」

「プレゼントなんかいいってばよ、これで十分」

「そういう訳にはいきません!」

「いいってば」



しっかりと抱き留めてくれたアイツと、しばしの攻防戦。


オレは本当におめでとうって言葉だけで嬉かったのに。

案外記念日とかを大切にするらしい…執事兼恋人のしつこさに負けてしまった。


わかったと言ったオレの言葉を、満足気に待つアイツ。


プレゼントと言われても、欲しい物なんてないし…

それならば普段は言えない事を、と思った。


何を言っても叶えてくれるだろう執事の、少し困ったような顔を想像しながら…



「じゃあ…ナルトって、呼んで?」



案の定それは…とか、ですが…とか言ってるアイツに助け舟。



「ぷっ…冗談だってばよ」



ホッとしたような笑顔を浮かべるアイツ。


だけどさ、せっかくの誕生日だもんよ

いつもは普通の恋人同士のようには出来ないオレ達の関係も、1日くらいはいいじゃねーの?


それに、プレゼントをと言い出したのはアンタの方なんだからな。



「執事とお坊っちゃんじゃなくて、普通のデートがしてみたいってば…ダメ?」



本当は
ずっと思ってた。

普通の高校生みたいにデートして、笑って、手を繋いだりしてみたい…

名前を呼ばれてみたい…


でも、やっぱりダメなのかな…


黙ったままのアイツの返事が怖くなってきて、俯いた。






「…では、次の日曜日に」

「…え?」



その声に弾かれたように顔を上げれば、困ったような顔。



「…私も、望んでいた事なので…」



そう言うとアイツは

"内緒ですよ"

と、あの時と同じように笑ったのだった。



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