butler
□call my name.
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デート当日。
いつものスーツを脱ぎ捨て、今日だけは私服姿。
初めて見た私服姿のアイツは、思っていた通りの感じだった。
綺麗めで、モノクロに統一されてる。
いかにもアイツらしいシンプルな格好。
それでも堅くなりすぎず少しカジュアルなのは、オレに合わせてくれたからなんだろう…
そう思うと少しくすぐったかった。
それに何を着てても、やっぱり格好良い…
「ナルト様も、とても素敵ですよ」
「…えっ!オレってば、もしかして声に出してた!?」
もし声に出てたのなら、とてつもなく恥ずかしい。
思わず熱くなった頬を手で隠すと、クスクスと笑うアイツ。
「…意地悪だってばよ…」
「すみません、私にはナルト様がそう仰っているように見えたので」
尚も笑い続けるアイツに眉を顰めながらも、悪い気はしない。
むしろ嬉しくて仕方がないんだ。
少し背伸びをしてみた、大人びた格好も
俺なりに整えてみた髪型も
実は今日が楽しみで、ずっと考えてたなんて絶対に内緒だけど。
「では、参りましょうか」
差し出された手を握り歩き出すと、ふわりとアイツの銀髪が弾んで。
まるでオレの心のようだ、と思った。
「なぁ、どこ行くんだってば?」
「普通の、デートですよ」
「普通の、ねぇ…」
「…実は、普通の学生がどのようなデートをしているのか、調べました…」
「ぷっ…」
「……笑わないで下さい、こんなデートは…私も初めてなんですから…」
「……」
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