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□キラキラ
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「暇だってば…」
別に誰がいる訳でもないのに、1人きりの部屋で呟いてみる。
ジメジメとした、梅雨独特の空気が嫌で窓を開けた途端、降り出した雨。
(…先生、今日任務だって言ってたよな)
上忍にしては簡単な内容だったから、そろそろ帰ってくる頃だろう。
(風邪、引かなきゃいいけど…)
そう思ったらジッとしていられなくて、俺は傘をさして家を飛び出していた。
*キラキラ*
降り続く雨に濡れた街には、ちらほらと短冊が飾られた笹があった。
(そういえば、今日って…七夕?)
いつだったか、先生に聞いた事がある。
先生は今まで、任務で色々な国に行ったらしい。
その中で聞いた、七夕の話。
『七夕はね、織り姫と彦星ってゆう夫婦のお話なんだって。』
『夫婦?』
『うん、離れ離れになった夫婦が年に一度だけ会えるって日が七夕なんだって。』
『なんで離れ離れになったんだってば?』
『お互いが、あんまり好きすぎたからだよ。』
『好きな事がダメなんだってば?』
『ううん、2人でいる事が楽しすぎて仕事を疎かにした罰なんだ。』
『…すごく遠いの?』
『天の川を挟んだ所だよ。』
『あまのがわ?』
『そう、空にある川なんだよ。』
『…空に川?』
『フフ…そう、空に川なの。晴れた七夕にしか見れないらしいんだけど、いつか2人で見れたらいいね。』
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