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□愛を込めて花束を
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「先生なんか大嫌いだってばよ!」



先生と喧嘩をしたのは久しぶりだった。
原因はほんの些細な事。

今となっては思い出せないくらい、小さな事。

俺は謝れなくて、先生も何も言わなくて。
こんな事は初めてだった。

意地を張って飛び出しても、先生は追いかけてこなかった。


これも初めての事。






愛を込めて花束を






こんな時に限って先生は別任務。
あれから一週間、顔すら見ていない。

いつも一緒にいたから、1人でいる俺をサクラちゃんや周りの人達は訝しげに見ていた。


『喧嘩でもしたの?』


もしくは別れた…?とはさすがに聞かないが、目がそう言っていた。

その度に適当に笑ってごまかすと、次第に気にする者もいなくなっていった。



任務が終わって家に帰ると、思ったよりもドアの閉まる音が響いて驚いた。

先生は自分の荷物を少しずつ俺の家に運んで、ほとんどこっちに帰ってきてたから。

おかげで乱雑な俺の部屋は、余計に物が溢れて狭くなっていた


それなのに。


1人でいると、どうしてこんなに広く感じるんだろう…


時計の音がやけに響いて、俺は溜め息を吐いた。

着替えるのすら億劫で、そのままベッドへ倒れ込む。
うっすらと先生の匂いが残っていて、涙が出そうになった。





先生…



ごめんね。

あんな事言うつもりなんかなかった

本当は大好きでたまんねーんだってば。


ごめんね。

ごめんね、先生。



会いたいよ…



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