ーBOOKー

□八尺様
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これは後から聞いたことであるが、地蔵によって封印されているというのは、八尺様がよそへ移動できる道というのは理由は分からないが限られていて、その道の村境に地蔵を祀ったそうだ。

八尺様の移動を防ぐためだが、それは東西南北の境界に全部で四ヶ所もあるらしい。



もっとも、何でそんなものを留めておくことになったかというと、周辺の村と何らかの協定があったらしい。
例えば水利権を優先するとか。

八尺様の被害は数年から十数年に一度くらいなので、昔の人はそこそこ有利な協定を結べれば良しと思ったのだろうか。


そんなことを聞いても、全然リアルに思えなかった。
当然だよね。


そのうちじいちゃんが一人の老婆を連れて戻ってきた。

「えらいことになったのう。今はこれを持ってなさい」

Kさんという老婆はそう言って、お札をくれた。
それから、じいちゃんと一緒に二階へ上がり、何やらやっていた。
ばあちゃんはそのまま一緒にいて、トイレに行くときもついてきて、トイレのドアを完全には閉めさせてはくれなかった。
ここにきてはじめて、「なんだかヤバイんじゃ…」と思うようになってきた。










しばらくして二階に上がらされ、一室に入らされた。
そこは窓が全部新聞紙で目張りされ、その上にお札が貼らされており、四隅には盛塩が置かれていた。
また、木でできた箱状のものがあり(祭壇などと呼ばれるものではない)その上に小さな仏像が乗っていた。
あと、どこから持ってきたのか、「おまる」が二つも用意されていた。
これで用を済ませろってことか…


「もうすぐ日が暮れる。いいか、明日の朝までここから出てはいかん。俺もばあさんもな、お前を呼ぶこともなければ、お前に話しかけることもない。そうだな、明日朝七時になるまでには絶対ここから出るな。七時になったらお前から出ろ。家には連絡しておく。」
と、じいちゃんが真顔で言うものだから黙って頷く以外なかった。
「今言われたことは良く守りなさい。お礼も肌身離さずな。何かおきたら仏様の前でお願いしなさい。」

とKさんに言われた。







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