ーBOOKー

□サザエさん
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3つめ。

ある日の昼下がり、磯野家に荷物が届いた。

カツオが箱を開けようとするが、父さんが帰ってから開けるとサザエ。
お預けをくらったカツオは野球をしに遊びに出掛けた。





─その日の夜。

波平が帰宅し、一家全員が茶の間にそろういつもの場面である。

荷物の送り主に心当たりのない波平。
開けてみると、青い玉手箱が入っており、一緒に「閉めきった部屋の中央に置き、コップ一杯の水を入れてください」との説明が入っていた。

説明書通りに水を入れると、瞬間的に白い煙が部屋中に広がった。みんなは煙を吸い込み気を失った。
いつしか煙は消え、朝になっていた。






最初に気付いたのはカツオ。
目の前の光景に唖然とした。
ワカメ、タラちゃんの姿が見当たらず、横たわる二つの白骨死体があった。
大きさからして子どものものではない。
成人のものである。






カツオは急に思い立ったように洗面所に走った。
鏡の中に映ったのはマスオの姿だった。
それは数年歳をとり、マスオ似の大人に成長したカツオだったのである。



白い煙の意味を理解したカツオは茶の間に戻った。


それぞれ歳をとり、カツオ似に成長したタラちゃん、サザエ似に成長したワカメ、波平似に老いたマスオ、そしてフネ似に老いたサザエがそこにいた。


二体の白骨死体こそ寿命を超えるほど歳を取りすぎ白骨化した波平とフネの姿であった。



「しかし現実に目覚めるにしちゃあ歳の取り方が中途半端だなぁ。」


カツオが疑問に思ったその瞬間である



ピンポーン。




「こんにちは、宅急便です!」



















次の玉手箱が届いたのである。







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