永遠の存在U

□探険(全33ページ)
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慶太は気ままに山を歩く。


(まさに、樹海ってやつだな)


青々とした木々の葉から太陽の陽射しが覗き、海を思わせた。


しばらく歩くと、希望と賢児が雑談を交わしていた。


「あ、慶太さん」


「何してるんですか?」


二人は笑顔で駆け寄って来た。


「お前らちみっこ共の監視だ。山はお前らだけだったか?」


「ううん、実と海斗も一緒だったんですけど…」


「何か遺跡のような所から離れなくて」


二人は苦笑しながら遠方を見ていた。


「遺跡?危なっかしいなぁ」


慶太は二人に連れられ、甃(いしだたみ)の上に立った。


枯ち果てた黄ばんだ石壁…。


かこいの中に、海斗と実はいた。


「何をやってんだ?」


慶太はそう声を掛けた。


「あ!お兄ちゃん!」


「慶太さん。見て下さいよ。面白い物を見付けたんですよ?」


「面白い物?」


慶太は希望と賢児と顔を見合わせる。


「大昔、この辺りでは呪術を盛んに国が栄えていたようなんです」


海斗は眼鏡を身に付け、足元を示した。


「ほう?」


「きっと、何処かに彼らが使っていた呪術の道具があるはず」


「お宝!お宝!」
実は喜んでいる。


「あのなぁ…保護者を目の前にして、そういうこと言うか?オイ…」


「まあまあ。もし、見付けられたら…フフフ…」


「海斗?」


「考古学会に提出して、推薦状を貰うんです。アハハ…いいなぁ、考古学は…。フフフ…アハハ!」


海斗がさもおかしく笑い出すと、慶太は背後の二人を見た。


「…なあ。海斗って…」


「うん…。考古学マニア…ですよね…」


「勉強熱心なことは良いことです。神も見守っていてくれることでしょう」


賢児は手を組んで、祈った。


(…こいつら…個性強すぎ…)


慶太は頭を掻いた。


「ねえ、海斗お兄ちゃん」


「アハハ。何だい?」


「あのね、さっきから音がするの…」


実の言う通り、何やらパラパラと音がする。


「おら、早く他の所に行くぞ」


慶太がきびすを返した時。


ガラガラガラ!


「のあああああ?!!!!」
「うわあッ!!!!」
「キャアアッ!!!!」
「わあああああ!!!!」
「…………ッ!!!!!」


足元が崩れ、五人は…落ちた。
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