永遠の存在U

□絶不調(全5ページ)
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海斗からの着信だ。


「はい」


『こんちわ。今良いですか?』


「構わない。どうかしたのか?」


『改めてお礼をと思いまして…。誠之さんのお陰で、兄さんとも父さんとも仲良くなれて』


「それは良かった」


『今度、家族旅行に行くことになりまして。お土産は何が良いですか?やっぱり食べ物かな』


「どうだろう。場所にもよるかもな。名物…とか」


『了解、頑張って買って来ますね。トーテムポール』


「ほう…」


『…冗談ですよ』


「何だ。冗談か」


『アハハ!あ、授業が始まる…。頑張って買って来ますからね、マーライオン。それじゃ!』


ブツッ。


(…旅行先はシンガポールか?楽しみだ)


はたまた着信が…。


「今度は誰だ」


『あ、酷い対応。何かあったの?』


清香だ。


「いや…色々と。どうした」


『あのね、誠之の靴…もうボロボロだよね?光輝さんが買ってくれるんだって。サイズは何だったかな?』


「26だ」


『オッケー。夕飯は、あたしが作るから。じゃ』


ブツッ。


(…つか、お前ら…メールで良いだろ…)


すると…メールが受信された。


(…お前らの望みは何なんだよ…)


仕方なく読んだ。


“元気ですか?お父さんにお願いして、携帯を買ってもらいました。今、友達に操作を教わっている所です”


日和からだ。


誠之は時計を見た。


昼の1時過ぎ…。


先程、海斗は授業だと言っていた。


“学校はどうした”


“今日は三者面談だったので、授業はないんです”


中学と高校では違うのか…と誠之は納得する。


“両親、仲良いか?”


“はい、とっても。お兄さんが前を見ろって言ってくれたから、お友達も出来て、楽しいです”


“良かったな”


“それと…夏休みは、お父さんの実家に行っても良いということになりました。また会いに行きます”


少し胸が高鳴った。


“楽しみにしてるよ”


“私もです。それじゃ”


…何気ないメールのやり取りなのだが、気付けば顔面の筋肉が緩んでいた。


(いやいや…しっかりしろ、俺…)


その時、また着信が…。
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