永遠の存在U

□二卵性双生児(全10ページ)
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翌日。


慶太はまた遊びに行ったらしい。


光輝は徹夜で課題の絵を完成させたので、夕方まで眠って…夜、出掛けた。


姫賀丘駅から徒歩40分。


二階建ての一軒家の、インターホンを鳴らした。


「はぁい」


玄関を出て来たのは、黒髪を二つに結った少女だった。


「夜分恐れ入ります」


「光輝さん!お久しぶりです!」


少女は門を開けに駆けて来る。


「やあ、希望ちゃん。お父さんとお母さんは帰ってるかな?」


「ううん、まだよ。もうすぐ帰ると思うから、あがって下さい」


「悪いね。お邪魔します」


中へ招かれ、居間に腰掛ける。


「希望ちゃん一人?」


「ううん、お兄ちゃんはお風呂よ。光輝さん、どうしたの?珍しいよね。はい」


希望と呼んだ少女はお茶を出す。


「ありがとう。実は…父さんが出張で家を空けてしまってね。希望ちゃんも分かっているだろう?」


「そうなんだ!慶太さんは相変わらず?だったら心配ね…」


「ね?だから小父さんと小母さんに相談しようと思って」


「うん、そうした方がいいよ」


雑談を交わしていると、寝間着姿の少年が居間へと現れた。


「あ、お兄ちゃん。お客様よ」


「やあ、勇気。久しぶり」


「あー…うん、久しぶり」


勇気と呼んだ少年は水を飲んで、腰掛けるやいなやテレビを観ている。


「相変わらずみたいだな」


「マイペースなだけが取り柄ですから」


そんなことを話されていても、勇気は自分から話掛けようとはしない。


「勇気。慶太のことで相談があって来たんだ」


「…あー…そう…。夕飯食べて行けば?」


「そうだな…。そうさせてもらおうかな」


無愛想…という訳ではない。


自分に害のないものには、こうした好意を示すのが彼の性格らしい。


それから少し経ってから、玄関のドアが開いた。
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