永遠の存在U

□集会・再び(全8ページ)
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九月になった。


その日“キャシー”という店の入り口のドアには「本日貸切り」の札が掛けられている。


…カランコロン…。


ドアに付いたカウベルが鳴った。


…カランコロン…。


貸し切りなのに、何度もカウベルは客を招く。


…カランコロン…。


…カランコロン…。


…カランコロン…。


来客達は、緊張の面持ちで互いの顔を見合わせる。


「ようこそ、お客様。わざわざ足労を願い、感謝致します」


派手な橙色の短髪の男が、大袈裟に会釈をした。


黒のスーツに、真っ赤なシャツのホストのようだった。


「久しぶりだな。三浦」


そう言ったのは、野杉だ。


「一体、何年ぶりだろうな。こうして面会わせるのは…」


三浦と呼ばれた男は、懐かしそうに周囲の人間を見回す。


「それで?ただ呼んで、皆でわいわい騒ぐだけではないのでしょう?」


腕を組んでそう言ったのは、清水だ。


「ああ、深刻な話があってな。昔話は後にしようや」


「…状況は、それほど芳しくないのか」


「それは、お前が良く知っているはずだが?望月」


三浦の言葉に、望月は睫毛を伏せた。


「皆さん、揃ったみたいですね」


三浦の肩に、手が置かれる。


「聖。皆さんを奥へ招待しなさい」


「ええ。さあ、こちらへ」


その人物…日向は来客達を奥のテーブルへと導いた。


来客は、全員で八人。


10数年ぶりに再会を果たした仲間達。




野杉雄二。

清水晃。

望月宮路。

村川利音。

村川由梨香。

月宮準也。

上野武。


そして…最後の一人は。


「…宮島…」


真紅の長髪、真紅の目。


漆黒のスーツを着た男の姿に、野杉が呟いた。


「…野杉先生…」


野杉は宮島と呼んだ男と抱き合う。


「…どうしても、皆には知らせておきたくて」


「そうか…」


各自、腰を落ち着かせる。


宮島は全員を見回した。


「…皆、まずは…集まってくれてありがとう」


「それは構わない。一体、何が起きているんだい?」


上野が言った。


宮島は頷き、話し始めた。
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