永遠の存在U
□探険(全33ページ)
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昼過ぎ。
リゾートホテルから車で約半日かかって、神田家の別荘に着いた。
健一が全員を集め、言った。
「コテージもあるから、好きにして良いよ。ただし…」
「ただし…?」
「申し訳ないんだが、携帯電話は一切、使えないものと思ってくれ」
一同は首を傾げた。
「今、ここ一帯に電波障害が起こっているらしくて…業者の人達の復旧工事が終わるまで、使用は控えてほしいの」
椿は申し訳なさそうに手を合わせる。
「復旧工事が遅れては、来賓達へ言い訳の仕様がないんでね。宜しく頼んだよ」
…という訳で、慶太が各自の携帯電話を没収した。
「難儀だな…。おい、チビ共!遠くに行くんじゃねーぞ!」
「は〜い!」
「はい!」
「分かってるよ!」
等と口々に返事したちみっこ達は、散々に駆け出した。
「あら?誠之様。お顔の色が優れませんわね」
華が誠之の肩に触れようとしたが、振り払われた。
「…すまない…。放っておいてくれないか…」
「朝から変だとは思ってたけど…こりゃあ無理そうだな。医者呼ぶか?」
「…いい…。寝てれば…大丈夫…」
誠之はフラフラとコテージへ入って行った。
「それにしても…涼しいな。俺、スケッチに行って来るよ」
光輝は単身、森の中へ入って行った。
「俺は少し泳いで来ようかな」
「あ、あたしも行って良いですか?」
「もちろん」
達也と清香は海へ出掛けて行った。
「やれやれ…ですわね。私は神田様方を手伝って来ますわ」
華は別荘へ行く。
残された慶太と日和は、顔を見合わせた。
「日和ちゃんは皆と行かないの?」
「私は…誠之さんの具合いを看てます…。お兄さんこそ…」
「俺は山に行くしかねーよ。チビ共が何人か走ってったみたいだからね」
「そうですね…」
きびすを返した日和は、振り向いた。
「…邪魔、しないで下さいね」
「おっと。オーケーオーケー。お二人で、どうぞごゆっくり♪」
慶太は笑い、山の中へ入って行く。