永遠の存在U

□幽霊屋敷(全16ページ)
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8月3日。


今日から四泊五日の旅行に出掛ける。


「四泊五日なんて、贅沢だよなぁ…」


荷造りを終えた慶太が荷物を担ぐ。


「今年はまた日数が多いけど…どうかしたの?」


「今年は特別だからさ!」


光輝が訊くと、彼の親戚である麗児が言った。


「父様も母様も、凄く喜んでいるんです。お二人は賑やかな場がお好きですから」


清楚な少年…麗児の弟、賢児が笑みを向ける。


「何だか…恐縮だよね…。いいのかな…」


「…やはり、俺達は…」


清香は誠之とすがりつき合っていた。


「何言ってんの!遠慮なんてすんなよ!親友!」


「そうですよ。どうせ、父様達はお仕事があるんですから。それに…旅は多い方が楽しいですし」


麗児と賢児は依然、笑みを向けていた。


「子供達の面倒を見てくれるなんて、有難いわね」


「おう。野杉、そろそろ晃達が着く頃だ。酒の用意は出来てんのか?」


「買ってはいるが、あれでは足りんかもな。持ち寄れと連絡しようか」


村川夫婦と野杉は、宴会の準備にいそしむ。


「日和ちゃん…だっけ。怖がらなくても良いからね。笑って笑って!」


麗児が日和の頬を両手でうりうりと撫でた。


日和は緊張が解けたようで笑った。


「…本当に、太っ腹…。どんな神経をしてるんだろうね」


「…不思議な人達だ」


希望と勇気も楽しみだといった感じだ。


「本当に、私なんかがご一緒してもよろしいのかしら?」


相変わらずゴージャスな華も呼ばれたらしい。


真紅の長髪は結われ、豊かな胸元は見る者を喜ばせた。


「あああ…美しい…。遠慮なんて要りません。是非とも楽しんで頂けたら光栄であります」


麗児は華の前では真面目に務めを果たす姿勢になる。


「アハハ。兄様、普段もそれだけ頑張れば良いのにね」


「それとこれとは別物なんだよぉ〜」


「実君、お兄さん達は怖くないかい?」


賢児がまだ小学生の実に訊いた。


「大丈夫だよ。お兄ちゃん、お誘いありがとうございます!」


「どういたしまして♪」


賑やかになった所で、それぞれの両親が慶太と光輝に念を押す。


「海斗と達也は、健一さんと一緒に来るから仲良くしろよ」


「子供達のこと、宜しくね」


「保険証を忘れるんじゃないぞ。しっかりな」


光輝が運転する車で、目的地へ向かう。
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