永遠の存在U
□絶不調(全5ページ)
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7月になった。
誠之は体調不良で寝込んでしまった慶太を看病していた。
「具合いはどうだ?」
「随分と良くなったよ」
「食欲は…ないみたいだな。すまない…料理は苦手で…」
誠之は、あんまり減っていないお粥が入った器を取る。
「アハハ…。ごめんな。粗末にして」
「仕方ないさ…。薬を飲んで、休んでてくれ」
「ああ…助かる」
慶太の看病をするうちに、色々なことが分かった。
中でも大きかった収穫は…。
慶太の収入源だった。
慶太は携帯電話一つで、おこづかいサイトなるものを使って月に数十万円を稼ぎ、更に株を買って日に数万円を稼いでいた。
(どおりで資金が尽きない訳だ…)
しかし、短所もあって…。
本当にそれだけなので、ここの所、出費がかさんで貯金が一切ないらしい。
誠之はすやすやと寝息を立てて眠る慶太の様子を見て、部屋を出た。
静かな屋内。
考え事をするには、もってこいだった。
(…母さん。俺は産まれて来ない方が良かったんだ)
そんなことを考えるばかり。
(…俺が産まれて来なかったら…皆が幸せだった。母さん一人が苦労する必要なんてなかったんだ)
誠之は膝を抱えて溜め息をついた。
(…いっそ…死んでしまいたい…)
そんな時、携帯が鳴った。
清香だろうと応対するが…。
『やあ。元気してるー?』
…?
「…誰だ…???」
『やだなぁ…忘れんなよ〜。俺だよ、麗児!』
慶太と光輝の伯父の息子からだった。
「ああ…」
『携帯替えたんだ。それよか、夏休みに旅行に行くんだけどさ。何処に行きたい?』
「…は?」
『え?慶太か光輝から聞いてないの?しょうがないなぁ…。毎年、夏休みは旅行に行くんだ。今年は誠之と清香も連れてくって、親父も母さんも張り切ってんの』
「いや…俺達は…」
『遠慮なんかすんなって!親友!』
「…どうも…。詳しくないから、慶太達に聞いてから、また連絡する」
『分かった。じゃ、絶対な!待ってるから!』
ブツッ。
…相変わらず一方的な奴だと思った。
更に、また着信が…。