永遠の存在U

□集会(全16ページ)
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取りあえず、一晩様子を見ることになった。


光輝は誠之と清香を伴い、帰宅した。


「…ん?」


清香は光輝から香水の匂いが漂って来るのに気付いた。


「な…何…?」


「光輝さん…女の人と寝たの?」


「な…何てことを言うんだ君は…。そんな余裕なんてなかったさ。あぁあ…」


光輝は風呂の支度をしに立ち去った。


「…悪いことをしたな」


「どういうこと?」


「実は…」


かくかくしかじか…。


「…それって…誠之は悪くないじゃない。あの女…ボッコボコにしてやりましょうか」


「何を怒ってるんだ?」


「あのタカビーがムカつくってんのよ。あの喋り方も…あーッ、ムカつくムカつく!」


知らない間に一波乱あったらしい。


「確か…名前は宮島華。あのレッドステーションの令嬢で、将来旦那になる男は財産の半分を貰えるんだって」


「何だ。たった半分か。ケチ臭いんだな」


「…それでも数百億は下らないんだって…」


「す…数百億…」


誠之はその場に腰を抜かした。


「光輝さん、あんな女にかどわかされたら駄目だよ。あの服で誘惑してるだけなんだから」


清香は戻って来た光輝にそう言った。


「華はそんな人じゃないよ。思いやりの強い人だ」


「光輝さんは、見た目と中身、どっちを優先するの?」


「う〜ん…見た目はオマケって感じかなぁ」


「…あの女が好きなんだ」


「いや、それは…。ほら、早く支度して。今日は疲れたなぁ」


光輝は足早に居間へと駆けて行く。


「…清香。お前…何か変だぞ」


誠之はやっとの思いで立ち上がる。


「光輝さん…お母さんを絵に収めたいって言ってたの。お母さんの為に泣いてくれたんだよ」


「…それで?」


「お母さんはもういないから、代わりにあたしを描いてくれたんだよ。期待してたのにな」


「…男を男として見ていたのか?男嫌いのお前が…」


誠之は涙ぐんだ清香の頭に手を置いた。


「…何兄貴面してんのよ。気色悪いわね」


清香はその手を振り払う。


「あたしは、あんなタカビーな女になんて負けない。お金なんて、すぐに稼いでやるんだから」


(…いや…財産云々の問題ではないだろう…この場合は…)


先行きが不安だと、誠之は深い溜め息をついた。




〜END〜
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