永遠の存在U
□子供の日(全7ページ)
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5月5日、子供の日。
慶太と光輝は、いきなり訪れて来た海斗の父親…望月と、日和の父親…清水と対峙していた。
「一体、どういうことなんだい?僕は海斗のことしか聞いていないというのに、日和も一緒だなんて…」
「預かってくれたことには感謝する。しかし、どうして我々に黙ってこんなことをしたんだ?」
「そうだよ。警察にも頼んで捜している所だったんだよ?もし、日和ちゃんがここへ来なかったら…」
望月と清水の小言に耐えかねて、慶太が二人を睨んだ。
「だったら、テメェらで我が子を管理しろ。俺達は頼まれたから言わなかった。それなりの原因が、親であるおたくらにもあったんじゃないのか?」
「連絡をしなかったことは詫びます。しかし、それでも結果は変わらないのでは?こうして目くじら立てて、子供を返せ…なんて怒鳴り込んで来るくらいですしね」
慶太と光輝は反撃に出た。
「人の家庭事情に関わりのない君達に、そんな権限はない。とにかく娘は連れて帰る」
「慶太、光輝。君達がしたことは悪いことではないかも知れない。けど、度が過ぎるよ。晃や乙女葉がどれだけ心配したと思ってるの」
慶太と光輝には反省の色はない。
「子供の気持ちが分からない親には返さない」
「子供の気持ちが分からない親には返さない」
双子は声を揃えて言った。
「何だって…?」
「…もういい、日和!!帰るぞ!!」
清水が怒鳴ると、恐る恐る日和が部屋から出て来た。
日和は泣いていた。
「さあ、帰るぞ」
清水が立ち上がり、手を引くが…。
日和は首を振る。
「嫌!!」
「何を言ってるんだ。早くしないか」
「…そういうことさ」
誠之が部屋から出て来た。
清水はその容姿に絶句する。
「今連れ帰っても、きっと…また日和は家出をする。あんたが考えを改めない限り、イタチごっこだぞ」
「…君が誠之か…。成程、父親そっくりだ…」
清水は深い溜め息をついた。
「日和は、そんなあんたに怯えて逃げ出して来たんだ。これ以上、日和を苦しめてやるな。只でさえ弱い子供なのに、可哀想だろう」
「…日和。お前はどうしてほしいんだ?」
父親に訊かれ、日和は言った。
「…離婚なんて嫌。二人共、好きだから…」
内気な少女が見せた勇気に、父親は心底驚いていた。