永遠の存在U

□黄金週間(全15ページ)
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帰り着いた時、誠之の背中で日和は目を覚ました。


「…あれ?」


「ん?」


「…ご…ごめんなさい…」


降ろしてもらい、日和は何処か必死に謝った。


「清香より断然マシだ。しかし…」


誠之は部屋から出て来た慶太に目をやった。


「慶太。清香…重くなかったか?」


「んー…そうだなぁ。結構、付いてる所は付いてるんだなって。意外だった」


「すまない」


「アハハ。まあ、俺も得したってコトで」


「得?何の?」


「…君の純粋さには敵わないよ。彼女、何カップなんだろ…」


首を傾げながら去る慶太。


誠之はしばらく訳が分からなかったが…ようやく理解して。


「あんた…清香に何かしてみろ。産まれて来たことを後悔させてやるからな」


「遅。つか、怖。大丈夫だって、多分」


「多分…」


「冗談だよ。本っ当に真面目だな、お前って」


慶太は誠之の肩をバシバシ叩いた。


「もーちょっと砕けたら、もーっと良い男になるぞ」


「余計なお世話だ」


寝ると言って、誠之は部屋へと去った。


慶太は腰を折って、日和に訊いた。


「ねえ、誠之のこと…どう?」


「どう…?」


「大丈夫、人に言ったりしないから。正直に言ってみな」


「…あ…あの…その…私…」


日和はしばらく躊躇い、言った。


「…怖い…です…」


「あいつ、笑わないもんな…。こうなったら、やっぱり俺達が変えてやるしかないよね」


「…で…でも…分かりません…」


「それを、これから考えるんだ。そうすれば、日和ちゃんも変われるはずだよ」


「…本当…?私…変われますか…?」


「ああ。これからの行動次第だ。頑張ろうな」


「はい!」


何かに導かれたように、自分の周りに集まった子供達。


慶太と光輝は顔を見合わせ、そんなことを話した。


「父さんの仲間達の子供なんだから、いつかは会えるだろう…とは思ってたけど」


「偶然…だよな。それも、俺達が必ず自主的に行動した時…だもんな。何だか運命を感じるよ」


「…なあ、慶太。不謹慎なんだけどさ、俺…今が一番楽しい時なんだって思う」


「俺も同じだ」


「…昔、父さんが言ってたな。三山悟史の周りにも仲間が集まったって。何か今と似てる気がする」


その訳はまだ分からないが、確かに今はある…。




〜END〜
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