永遠の存在U
□北の国から(全14ページ)
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清香はクスクス笑っている。
「誠之はね、あたしやお母さん以外の女の子と接したことがなくてね」
「…ひょっとして…」
「はい。誠之は女の子が苦手なんです」
慶太は驚いて、真っ赤な顔を両手で覆う誠之を見た。
「女がッ、苦手ッ?!!カーッ!!!似合わねぇえ!!!」
「ぅ…うるさいな!!好きでこうなった訳ではないんだ!!」
「じゃあ、何でだ?」
「それは………………ちょっと待て。何であんたに、そこまで言わなければならないんだ」
「俺の父さん」
「…ぅ…」
「鍵は必要ないって連絡しちゃおっかなぁあ」
「あ…あんた鬼か!!」
「女は良いぞ〜。柔らかくて、良い匂いがするし…ちょっと優しい言葉を掛けてもらえば、めちゃめちゃ癒される」
「…そういうあんたはどうなんだ?もう二十歳を越えてるんだ。まさか童貞ではないだろう?」
「俺?俺ちゃん、童貞よ?」
「…貴様ぁあ!!!」
誠之は拳を、慶太が構えた手の平へと叩きつけた。
「アハハ、お二人共、もう仲良しさん♪」
「ちょっと、未成年の前で暴力はやめなさいよね」
海斗は面白いと言って、清香は日和を守る。
「…フフフ」
日和が笑った。
清香は驚く。
「どうしたの?」
「えっと…良いなぁ…って。羨ましいです…」
「羨ましい?」
「友達…って言うんでしょ?」
「友達ねぇ…。ちょっと違う気もするけど」
夜も遅く、望月に「そろそろ寝なさい」と言われ、慶太達来客は同じ部屋で眠る。
すやすやと寝息を立てたのを確認して、望月は「おやすみ」と言って部屋を出る。
良く眠り…早朝。
「また来ても良い?」
朝食の席で、慶太が望月夫婦に訊いた。
「もちろん。いつでも来なさい」
「待ってるからね。野杉に宜しく」
慶太達は東京へと発つ。
海斗と日和が見送りに。
「日和。両親の喧嘩をやめさせる良い方法がある」
誠之が言った。
「良い方法…?」
「家出をしてみな。それも、スッゴいやつ」
「スッゴい…家出…」
「頑張ってな」
日和は寂しそうな表情で、海斗と共に手を振った。
「さあ、行こう」
慶太は二人を伴い、北海道を発った。
〜END〜