永遠の存在U

□北の国から(全14ページ)
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5月1日。


慶太は今、北海道にいる。


ここは、とあるお宅の居間。


光輝に描いてもらった三山悟史とその奥さんの似顔絵を町中に貼り終えて、もう一つの問題へと挑む所だった。


「参ったな…。僕が少し目を離している隙に、二人共…いつの間にかあんなにも険悪になっているんだもんな…」


慶太の向かい側に腰掛けた金髪の中年男性が溜め息をついていた。


彼は望月。


国立病院の院長代理として働く…慶太達の父親の親友だという。


「小父さん。時間だけど…大丈夫ですか?」


「あんまり…。でも、君が来てくれて良かった。お陰で、あの二人が勝手に離婚話を進めていたのを知ることが出来たから…」


望月は苦笑する。


その時、インターホンが鳴ったので望月が応対した。


「…望月先生…。いくら話した所で…無駄ですよ」


一人の女性が立っていた。


ポニーテールの…素朴な感じの女性だ。


「乙女葉…いいから座りなさい」


望月に促され、乙女葉と呼ばれた女性は慶太に軽く会釈して腰掛ける。


「一体、どうなっているんだ?乙女葉、話しなさい」


望月がお茶を出しながら訊いた。


乙女葉と呼ばれた女性は、慶太を横目で見た。


「ああ…彼は、前に話した野杉の息子だよ。利音や由梨香の代わりに来てくれたんだよ」


「そうですか…。初めまして、清水乙女葉と申します」


「野杉慶太です。顔色が優れないようですけど…大丈夫ですか?」


慶太は心配そうに訊いた。


「ええ。ありがとうございます」


「それで…何で離婚だなんてことになってるんですか?」


乙女葉は元気なく、うつ向いて話出した。


「私達、仕事の都合ですれ違うのは当たり前なんです。だから日和の為にも、そうした方が良いとあの人も言っています」


「じゃあ、愛し合っていない訳ではないんですね?」


「それは…分かりません」


「あなたは?旦那さんを愛していますか?」


「ええ。でも、あの人はどうなのか…それが分からなくて…」


慶太と望月は顔を見合わせた。


しばらく経ってから、またインターホンが鳴ったので望月が応対する。
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