永遠の存在U
□プロローグ
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19年前、両親はまだ高校生だった。
「あんた達のお父さんはね、とっても強い人だったの」
母親の口癖だった。
「あんた達もお父さんのように強い子になりなさい」
そう言うけれど、彼らは父親の顔を知らない。
父親がどうして行方不明になったのか、母親は語らない。
きっと…父親は母親を妊娠させた責任に押し潰され、逃げたに違いない。
彼らはそう思っている。
母親は父親を今も愛していると言う。
だから、そのことは彼らの心の中に留めておいた。
10年前、そんな母親も極度の心労で病気になってしまい…死んでしまった。
あの優しかった母親は、父親を想うあまり心に負担を抱えて死んだのだ。
父親は、まだ行方不明。
母親を亡くし、決心した。
父親を探し出し、そして…。
この手で…。
…母親の仇を討つ、と。