永遠の存在U

□漆黒の薔薇(全2ページ)
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その際に、望月に連絡する。


「望月先生。悟史は、過去の記憶を思い出している可能性があります」


『そうか…。それを否定しているということは…』


「ええ。やはり、子供達のことを気にしていたみたいですね」


『ちょっと荒療治になるけど、自白剤を試そうか。僕も近々、そっちへ行くよ』


「危険ですよ?」


『危険は承知の上さ。ああ…この間、誠之と清香が19歳になったんだ』


「あ、そうなんですか?」


『君も、何か贈ってあげなよ。お金持ちなんだからさ』


望月と通話を経って、部下を任せていた男性の元へ歩み寄る。


「悟史。君の子供達、19歳になったそうだよ」


〔…19…〕


「何かプレゼントを贈らないとね。何が良いかな」


〔………〕


男性は泣いた。


蒼白な表情で、涙を一筋流して。


「どうかしたのか?」


〔…分からない。勝手に…〕


「…大丈夫。皆、許してくれる。悟史は帰りたくても帰って来られなかったんだ」


〔…何を言ってるのか分からない…〕


「そう?う〜ん…プレゼントかぁ。…ああ!」


〔何だ〕


「簡単なことだ。よし、早速…」









日本時刻。


4時。


プルルルルルルルルル…。


野杉宅のドアホンが鳴り響く。


絵を描いていた光輝が、慌てて応対する。


「はい…」


『レッドステーション支部の者です。お届け物に上がりました』


…怪しい。


そう思った光輝は、自分からマンションの玄関に赴くことにする。


包みを手渡され、サインをした。


「毎度どうも〜」


「…何なんだ…?」


包みを見ると、双子宛てだった。


誠之が起きて来ると、包みを手渡す。


もう仲直りしたらしい。


「…パスポートだ…」


「ええ?!」


宮島からの、遅い誕生日プレゼントだった。


「これで、やっと親父に会えるかな♪」


「せ…誠之…。そんなこと、父さんが許すはずないって…」


「ああ、絶対に許さん」


背後から肩を抱かれ、二人は驚いた。


「冗談だってば。な?光輝」


「アハハ…当然だ」


「やれやれ…。晃と言い、どうしてこう…」


清水一家からの誕生日プレゼントは…。


金券だったという。


お陰で、誠之と清香の貯金は蓄えられているという。



〜END〜
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