永遠の存在U
□子供の日(全7ページ)
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取りあえず、慶太が清水を再び腰掛けさせた。
「小父さん、まだ時間あるよな?」
「あ…ああ…。何か?」
「良い機会だからさ、もっと日和ちゃんと向き直れば?日和ちゃんは両親が好きだから別れてほしくないんだよ」
「…そうか」
「小父さん、この辺の地理に詳しいんだろ?昔の思い出とか、沢山あるんだろ?ちゃんと話をしなよ。な」
「…慶太。君は、父親とは似ても似つかないな。むしろ…母親と似ている」
「小父さん…俺達の母親、知ってるのか?」
「もちろん。かけがえのない存在だったよ」
慶太と光輝は驚いて顔を見合わせる。
「君達の母親は、中身が綺麗な人だったんだよ。そして…いつでも前向きに物事を捉える人だった。丁度、慶太のようにね」
「へぇ…。村川さん達、何にも話してくれないから…。何か、照れ臭いな」
「利音と由梨香…か。あの二人はすぐに人を気遣うからね。きっと、君達がもっと悲しむとでも思ってるんじゃないかな」
「あの二人なら有り得る…。小父さん、良く見てるな」
「我が子のことも、このくらい分かれば良いんだがね。いや、これから…か」
清水は苦笑して立ち上がり、日和を呼んだ。
「日和。父さんと少し出掛けないか?」
内心、駄目だと思ったのだが…。
日和は躊躇いなく、部屋から出て来た。
「少しと言わず、夕食も済ませて来なさい。ああ、慶太。世話になるよ」
望月は部屋へと入った。
同時に、誠之と清香が気を遣って部屋から出て来る。
「何だか騒がしいな…。俺、買い出しに行って来る」
「俺も用事があったんだ。じゃ」
誠之と光輝は玄関を出て行った。
「…あたし、慶太さんと二人きり?」
清香は肩をすくめる。
「実質は二人じゃないけどな」
「…変なこと、しないでね」
「ガキ相手に何をするってんだよ…。それとも、期待してんの?」
「しないわよ。でも、頼まれたら触らせてあげても良いよ」
清香は豊かな胸を示す。
「その手には乗らない。触った途端、金を要求すんだろ」
「何で…あ…誠之に何か言われたんでしょ」
「いいや。お前…そういうの、辞めておいた方が良いぞ。いつかしっぺ返しが来る」
「余計なお世話だよ。あたしはお金が欲しいのよ」
清香の言動に、慶太は分かっていたので驚かない。