永遠の存在U

□二卵性双生児(全10ページ)
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小柄な女性が入って来た。


濃い金色の長い髪に、空色の瞳の綺麗な女性だ。


「ただいま。あら?」


「お帰りなさぁい!」


「お帰り」


「どうも、お久しぶりです」


希望と勇気が口々に言って、光輝が頭を下げた。


「光輝!久しぶりねぇ…。どうしたの?珍しいわよね」


女性は腰掛け、首を傾げてきた。


「実は…慶太のことで相談があって…」


「慶太の?う〜ん…それは難しいわね。先生は?どうされているのかしら」


「出張で家を空けてしまってます」


「こんな時期に…?相変わらずというか何というか…」


その時、玄関から大柄な男性が入って来た。


「ただいまッ!!お?」


「お帰りなさぁい!」


「お帰り」


「どうも、お久しぶりです」


またまた光輝は頭を下げた。


「よお!ひっさしぶりだなぁ!…あれっ?光輝だけか?」


「慶太のことで相談があるみたいよ」


女性が言った。


「そりゃあ…難儀な問題だな…。そこまで酷くなってんのか?」


「あ、いえ…そうならない内にと思いまして…。何かきっかけはないものかと」


「う〜ん…。取りあえず、飯を食ってからにしようか」


男性が言うと、女性は立ち上がり夕食の準備にかかった。


「光輝さん。慶太さんのことは、あなたが一番分かっているはずだ」


勇気が口を開く。


「え?」


「別に、無理に改善しなくても良いと思う。そのうち気付くんじゃないの?」


「慶太自身が…自分がいかに道楽者なのかをか?それが出来たら、父さんがああまで苦労する必要なんかないよ」


「…そうだった。失言だったね」


「いやいや…。そうか…一理あるかもな…」


慶太は双子の兄。


双子の弟である自分が理解しようと、初めて考えてみる。


「さあ、出来たわよ」


料理が瞬く間に出来上がった。


男性と女性…希望と勇気の両親の料理は格別だった。


夕食の席で話し合うが、結論には至らなかった。


「勇気の言う通り、理解してやるのが一番なのかもな」


「先生もお気の毒に…。一体、どうしてああも変わってしまったのか、原因を突き止めるのが第一ね」


アドバイスが出た所で、光輝は精一杯の礼を交わして、帰宅した。
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