ブック1
□異形2
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俺に与えられた罰がある
それはこの世の終わりまで生き抜くこと
何故こんなことになったのかは、もう今では覚えてはいない
ただ、ハッキリと覚えてはいるのは、力尽きない体に絶望し、
果てしない迷宮を彷徨うこととなっても、俺は本当にくるのか分からない、この世の終わりまで生き抜かねばならない。
それだけだ。
永い永い、永すぎる時を過ごすうちに俺は自分が分からなくなっていた。
何度も何度も姿を変えているせいか、
何度も何度も名を変えているせいか、
もしくは、俺の真の真名を呼ぶ者がいなくなってしまったせいか・・・
俺は本当の自分を忘れてしまった
俺は何者なんだろう??
(何回殺しても死なない、否・・・死ぬことのできない異形者)
俺は一体、いつになったら死ねるのだろう??
(化け物は死なないんだろう)
俺の罪は一体、いつになれば償いきれるのかー・・・
(生きている、それが主の罪)
俺は時を重ねるごとにどんどん暗い暗い闇の中へ落ちていった
***
**
*
そんな哀しい異形様が住みついた深い暗い、まるで闇のようなこの森をいつしか人々は
“異形様の森”と呼ぶようになった
その森に迷いこんだ者は必ずこの世の者とは思えないような美しい異形様に会い、気に入らなければ喰われてしまうらしい
しかし、無事に無傷でその森から帰ってきた者たちもごくまれにいる。
その者たちは口を揃えてこう言うのだった。
“異形様は残酷で、優しくて、無慈悲で、哀しい・・・”
“とっても寂しい方”
だと。
それが真のことか、確かめる術はない
…
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