桃色世界

□補習の時間
1ページ/1ページ



晴れた昼下がり

今日の授業は昼までで、
煩い桃は綱吉に連れられてどっか行ったし

久々にのんびりと過ごせると思った


ーの、に



『補習とか、なんなわけ』









「オメーが馬鹿だからだろ」


林檎の机には何枚かのプリント
五教科全部の復習用にまとめられた奴だと他の先生から聞いた


『うち馬鹿じゃないし。たんに提出物出さないだけ』

「それが馬鹿なんだぞ」

『うるさいな、黙っててよ』


パシリと、俺の手を叩いて頬杖をつきなおす

机の上でプリントがなびいてるけど、特に気にするそぶりを見せない
寧ろ、そのままどこかに飛ばされろとでも言いたげだ



「早くしねーと携帯没収するぞ」

『出来るもんなら、どーぞ』


ポッケに入れていた携帯をこれ見よがしに俺の前で使う


「……ふん、可愛いげのねー奴だな」

『でしょうね、当たり前だ』



俺が林檎より強いのは解りきったこと、
それを利用し、あざ笑うように鼻で少し笑い、今度はゲームを取り出す
もちろん、ポッケから


俺は呆れたような諦めたような視線で林檎を見つめる



『…というか、蜜柑は補習ないの?』


あいつ馬鹿なのに

と、唇を尖らせて言う


「用事があるらしいからな、野球部マネージャーの」

『……ずるい……あ、そーいやうちも部活「今日はテニス部休みだぞ」


林檎の言葉を遮って否定する


『……リボーンせんせーは、顧問の仕事いーわけ?』

「…俺はテニス部顧問だぞ?」


………あ、こいつ、覚えてねーんだな
不思議そうに首を傾げて、数秒



「顧問の顔くらい覚えろ。馬鹿」

『や、無理。メンバーすら覚えれないうちが顧問覚えるとか』

「普通メンバーより顧問の方が覚え易いだろ。顧問一人しか居ないし」

『………知らないっ。覚えにくいんだから、仕方ないじゃん』


あまのじゃく

この言葉が日本1しっくり来るのは林檎だと思った



「問題解け」

『や。めんどいし、意味わかんね』

「…どこがわかんねーんだ?」

『それすらも、わかんね』


随分と適当にあしらって、プリントから目を放す


今聞こえるのは、俺の一定のリズムで机を叩く音と、
林檎のゲームのボタンを押す音だけだ


………今は、教室おろか、校舎内でさえ



二人きりだ




『…リボーン、なんか顔変』

「…うるせぇ、さっさと殺れ」

『え、なにリボーンを?していいの?』


思わず間違った漢字変換で勘違いをする



「…はあ、今日はもう補習終わりだ」

『え、まじ?やった』


ゲームをパタンと閉じて、ゆったり立ち上がる



「ただ、俺に付き合え」

『は?…なに、どこ行くの?』

「ケーキバイキング」

『行く』


にやり、と口元をあげると
林檎がムっとして携帯を取り出す



『桃とか、呼ぶから』

「何勝手なことしてんだ。俺はお前以外の女を連れて行く気はねーぞ」

『…じゃ、恭弥、とか』

「却下だ」

『ケチ…なら、もう良い。ケーキバイキングとか元とれないし行かない』

「ああ、そうか」


…本当は、雲雀が居ないなら、ってことか
もしくは、俺の気持ちを知っているからか


…どっちにしろ、最悪には変わりねぇな




「林檎、行きたくなったらいつでも連れて行ってやるぞ」

『…気が向いたら、ね』



つれなく顔を背ける君を、愛しく見送る


…恋は盲目、か




『あ…今日新刊出る日だ。リボーンおごって』

「…500円までだぞ」






(ごめんけど、900円になった)
(二冊も買うからだろ、戻してこい)
(…死ねばいいのに)







[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ